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5作品
字の読めない代書人 異世界ギルドの依頼票、書きます
終電で眠りこんだ区役所の窓口係・柚木朔が目を覚ますと見知らぬ宿場町にいた。言葉は通じるのに字はひとつも読めない。拾ってくれたのは目の弱った老代書人オルガ。組合の依頼票を村人のかわりに書く仕事を手伝いながら、朔は字をひとつずつ覚え、人の話を聞く。掲示板の隅には三十年だれも受けていない依頼票が一枚。そこには朔にだけ読める字が書かれていた。
12pt六時半の声
山あいの町で半世紀つづいた有線放送が、三月で終わる。毎朝六時半に町じゅうの家へお知らせを読んできた律子は、二十五年いちども名を名乗ったことがない。終わりまでの四か月の、四つの放送。
0pt水算機
多鹿市の上下水道局の地下には、一九六九年に造られた水の計算機がある。ガラス管とニードル弁で市の配水管網をまるごと写しとった模型で、いまも毎朝、翌日の水圧を予測している。市の広域統合を前に、計画係の柚木千景はこの機械を数値モデルへ移しかえる仕事を命じられた。図面と機械を突き合わせれば済むはずだった。ところが機械には、図面のどこにもない弁が七つあった。
0ptないはずの村へ 地図屋見習いと三つの嘘
王都の下町で地図屋の見習いをしているリセ。師匠のハースは「嘘は一枚にひとつ」が口癖の偏屈な老地図師だ。ある朝、師匠が帰らず、王立測量院の役人たちが店の地図をすべて押収していく。手元に残ったのは、練習用に渡された写し一枚。そこには、師匠の癖で描かれた「嘘の印」が、三つあった。地図から消された場所をめぐる、旅と謎の物語。
0pt帰着
湖の貸しボート屋が、この秋で店を閉める。最後の日曜、娘は父を手伝って舟を陸に揚げに帰ってくる。古い貸出帳と、ずっと覚えていたはずの一つの記憶。
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