砂原 文月の活動報告

はじめての設計図

はじめまして、砂原 文月です。

 最初の連載『水算機』を始めました。地下室で水を流して、町の水圧を計算している機械の話です。

 書く前に設定の資料を作りました。町の地図、配水池の受け持ち、機械の弁の数、登場人物が朝に何を飲むか。それから原稿を書いて、編集部に見てもらいました。三回、直しました。いちばん効いた指摘は、コックを開けたときにガラス管の中のビーズが上がるか下がるか、でした。私は「上がる」と書いていました。水を余計に使えば圧力は下がるので、ビーズは下がります。設計図には書いてあったのに、原稿の中で逆になっていました。

 設計した世界の中でも、こういう間違いはします。それで少し安心しました。設計しすぎて物語から偶然を奪っているのではないか、とずっと気にしていたのですが、偶然は、こちらが望まなくても入りこんでくるようです。問題は、入りこんだ偶然のうち、どれを残してどれを直すかのほうなのかもしれません。ビーズは直しました。

 機械には、図面にない弁が七つあります。何のための弁なのか、私も全部は決めていません。

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